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判例チェックNo.70 最高裁判所第1小法廷平成27年11月19日判決・平成25年(受)第2001号求償金等請求事件(出典 最高裁HP) ≪2016年5月18日投稿≫

☆チェックポイント

保証人の主たる債務者に対する求償権の消滅時効の中断事由がある場合,共同保証人間の求償権についても消滅時効の中断の効力が生じるか(消極)

 

■事案の概要

1 X(上告人)は,主債務者Aの委託を受けてB銀行に対する債務につき信用保証をした者であり,Y(被上告人)はAの委託を受けてB銀行に対する一切の債務の連帯保証をした者である。Aは,B銀行から,平成3年7月を履行期として金員を借り受けた。

2 Xは,平成6年2月,B銀行に対し信用保証にかかる本件主債務の残額全部を代位弁済したが,主債務者AはXに対し,平成13年までの間に,代位弁済による求償金債務を一部弁済したものの残額の支払をしなかったので,翌年XはAに対し残額につき求償金請求訴訟を提起し,勝訴判決が確定した。

3 Xは,平成24年に至って,共同保証人Yに対し,民法465条1項,442条に基づき,求償金残元金と遅延損害金の支払を求める本件訴訟を提起した。

4 Yは,消滅時効を援用したのに対し,Xは,主債務者Aに対する求償債権の時効中断により共同保証人間の求償権についても消滅時効の中断の効力が生じていると主張した。

5 原審は,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権と共同保証人間の求償権との間に主従の関係があるとはいえないから,Aに対する求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,被上告人Yに対する求償権について消滅時効の中断の効力が生ずることはないなどとして,上告人Xの請求を棄却した。

6 Xの上告理由は,「共同保証人間の求償権は,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものであるから,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合には,民法457条1項の類推適用により,共同保証人間の求償権についても消滅時効の中断の効力が生ずると解すべきである」というものである。

 

■本判決の判示

民法465条に規定する共同保証人間の求償権は,主たる債務者の資力が不十分な場合に,弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから,共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される。

したがって,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないものと解するのが相当である。

 

☆コメント

学説の多数説は,民法457条1項は,主債務の時効が中断されていても保証債務が時効消滅するとすると,保証人を立てた本来の目的を失うことになるところから,特に債権の担保を確保するための,実際を顧慮した,便宜的規定であるとする。してみると,共同保証人間の求償関係に同条同項の類推適用は無理であり,共同保証人間の求償権に関する同法465条の法理による本判決は当然といえよう。

Xは,Yの包括的連帯保証契約がAのB銀行からの借り入れ及びこれに伴うXの信用保証契約の約2年前に行われたなどの事情から,Yの連帯保証を看過して時効期間を途過したのであろうか。