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コロナ問題 Legal Advice

Q&A 新型コロナウイルス感染症に関する法的問題【安全配慮義務関連】
2020-05-21
Q&A 新型コロナウイルス感染症に関する法的問題【安全配慮義務関連】
Q 当社はイベントの企画・運営を行っておりますが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が求められている中で開催したイベントで,新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が発生してしまいました。当社に法的責任は生じますか。
 
 
A 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した場合など,イベント参加者が感染した場合には,感染した参加者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
なお,感染した参加者に対して損害賠償責任を負う場合,参加者にも感染について過失があるとして過失相殺(賠償額の減額)が認められることが多いと思われます。
 
<解説>
 イベント主催者は,参加者に対して催しを提供する義務を負うだけでなく,参加者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っています。この安全配慮義務は,「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において,当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務」として,判例上,認められている義務です(最判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁)。
新型コロナウイルス感染症に関してイベント主催者には具体的にどのような安全配慮義務が求められているのかについては,新型コロナウイルス感染症の当該地域における感染状況,緊急事態宣言発令の有無や自粛要請の有無等の政府や地方公共団体による対応状況,イベント会場の環境や参加人数,感染予防策の容易性・期待可能性等の事情を総合的に考慮した上で判断されることになると考えられます。
 例えば,非常事態宣言が発令され,イベント開催の自粛が要請されている状況では,イベントの規模等によっては,安全配慮義務として「イベントを開催しない」ことがイベント主催者に求められることになるのではないかと考えます。そのため,かかる状況で大規模イベント等を開催してクラスターが発生した場合には,イベント主催者は感染した参加者に対して損害賠償責任を負うことになる可能性が高いと考えます。
 また,非常事態宣言が解除されたとしても,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が求められている状況においては,安全配慮義務として「イベント参加者がコロナウイルス感染症に感染しないよう然るべき対策をとる」ことがイベント主催者に求められると考えられます。そのため,参加者の手指消毒や手洗いの実施,マスク着用の義務付け,検温の実施,風邪症状がある者の参加拒否,換気の徹底,参加者間の距離を1~2mあける等の然るべき感染予防策を十分に講じることのない状況でイベントを開催してクラスターが発生した場合には,イベント主催者は感染した参加者に対して損害賠償責任を負うことになる可能性があると考えます。
 したがって,新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少傾向にあるとしてもまだまだ予断を許さない状況においては,イベント主催者には,新型コロナウイルス感染症の感染が発生しないように然るべき対応が求められることになります。
 なお,イベント主催者が感染した参加者に対して損害賠償責任を負う場合であっても,感染した参加者にも感染について一定の過失が認められることも多いでしょう。感染した参加者に感染について過失が認められる場合には,過失相殺が認められ賠償額が減額されることになります(民法第418条)。参加者の過失の有無やその程度については,新型コロナウイルス感染症の当該地域における感染状況や緊急事態宣言発令の有無や自粛要請の有無等の政府や地方公共団体による対応状況のほか,参加者自身が感染予防策を講じていたのか等の事情が考慮されることになると考えられます。
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