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判例

判例チェック No.36 最高裁判所第一小法廷平成24年9月13日判決・平成22年(受)第1209号 建物明渡請求事件

カテゴリ:判例
判例チェック №36
最高裁判所第一小法廷平成24年9月13日判決・平成22年(受)第1209号 建物明渡請求事件(最高裁ホームページ)
 
★チェックポイント
当事者双方が定期借家契約と認識しその旨の契約書が作成されているが借地借家法38条2項の説明書の交付がないときには、定期借家契約となるか(消極)
■裁判例の概要
(事案の概要)
賃貸人は不動産賃貸業、賃借人は貸室経営業のいずれも会社であるが、賃貸借契約締結に当たり、双方は賃貸借契約書を取り交わし、この契約書には、本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了する旨の条項(以下「本件定期借家条項」という。)があり、予め賃貸人が賃借人に原案を送付し賃借人も目を通し検討していたが、賃貸人は賃借人に本件定期借家条項を記載した借地借家法38条第2項の書面は交付しなかった。賃貸人は約定の契約期間5年が到来したので、明渡請求をしたところ、第1審は認容し原審もこれを維持したので賃借人が上告した。
(判旨の概要)
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面として作成し交付しなければならないところ、賃貸人はそれをしていないから、借家契約は終了していない。よって、原判決及び第1審判決を取消し、賃貸人の請求を棄却する。
■ コメント
 最高裁は、当事者双方とも定期借家条項を十分了解し契約書に記載しても、説明書面の作成交付を欠けば通常の借家契約になるとして、借地借家法38条2の厳格な適用を求めた。説明書面の交付は一見無駄に見えても省略できないことになる。
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