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判例

判例チェック No.42 最高裁判所第二小法廷平成24年10月12日判決平成22(受)622詐害行為取消請求事件

カテゴリ:判例
判例チェックNo.42
最高裁判所第二小法廷平成24年10月12日判決平成22(受)622詐害行為取消請求事件
(出典 最高裁民集66巻10号3311頁、判例時報2184号144頁)
 
★チェックポイント
新設分割株式会社の債権者は、新設分割設立株式会社に債務が承継されず新設分割について異議を述べることもできないときは、新設分割を詐害行為として取消すことができるか(積極)
■裁判例の概要
(事案の概要)
本件事案は複雑であるが、説明に必要な範囲で大幅に簡略化すると、A会社のB会社に対する本件貸金にかかる債務を連帯保証したC会社は、上告人会社を設立する本件新設分割をし、新設分割設立株式会社DにC会社の債務と、本件不動産その他資産とを承継させ、本件不動産の所有権移転登記を経由した。しかし、C会社は、D会社に承継させた債務から連帯保証債務を除外する一方でA会社との間でB会社の本件貸金にかかる債務を重畳的に債務引受したため、A会社は、会社法810条1項各号の異議権者ではなくなり、またC会社には本件不動産以外に債務の引き当てとなるような格別の資産がなかったため、A会社は本件新設分割により本件貸金の責任財産を失うこととなった。そこで、A会社から本件貸金債権の譲渡を受けた被上告人は、本件新設分割を詐害行為として取消権を行使した。
(判旨)
株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,民法424条の規定により,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる。
この場合においては,その債権の保全に必要な限度で新設分割設立株式会社への権利の承継の効力を否定することができるというべきである。
コメント
新設分割が詐害行為取消権の対象となるかにつき学説判例とも積極説が多かった(詳細は判例時報2184号144頁の解説参照)が、本判例も積極に解した。
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