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判例

判例チェック No.5  東京高裁平成12年8月28日判決 損害賠償請求,反訴請求事件

カテゴリ:判例
判例チェック No.5  
東京高裁平成12年8月28日判決 損害賠償請求,反訴請求事件
 
(判例時報1737号41頁)
★チェックポイント
製薬会社Xと薬品原料製造会社Y1の間の薬品原料の継続的供給契約について,事情変更(薬価基準等が契約締結時と大きく異なること)及び信頼関係の破壊(Xが誠実な交渉を行わずに価格変更の申入れを拒絶したこと等)を理由にYらが契約を解除した場合において,「やむを得ない事情」が認められず,解除の効力が否定された例
■事案の概要
Xは,Yらに対し,Y1との基本契約(継続的供給契約)に基づきYらから薬品原料の供給を受けることができる継続的供給契約上の権利を有する地位にあることの確認及び注文通りの薬品原料の供給を求めるとともに,Y1に対し,薬品原料の供給停止が基本契約の債務不履行に当たるとして損害賠償を求めた。
他方,Yらは,基本契約は事情変更及び信頼関係の破壊を理由に解除されたとしてXとの間に何らの契約関係がないことの確認を求める反訴を提起して争った(解除の意思表示は反訴状による。)。
■判旨
本件基本契約のような継続的供給契約において,当事者の一方が他方に対して契約を一方的に解除するには,信義則上,取引関係を継続し難いような不信行為等のやむを得ない事情が必要であると解するのが相当である。
■コメント
契約上,供給者側に解除権が認められている場合であっても,契約自由の原則を根拠にして安易に継続的供給契約を解除することは許されない。供給者側が契約を解除するには,信義則上,取引関係を継続し難いような不信行為等のやむを得ない事情(被供給者による信頼関係破壊行為など)が必要とされる例が少なくない。著名事件として,「販売会社と小売店との間の化粧品販売特約店契約は継続的供給契約であり,約定解除権を留保できるが,解除権の行使には,取引関係を継続し難い不信行為の存在等やむを得ない事由が必要である。」とした資生堂東京販売事件控訴審判決(東京高裁平成6年9月14日判決〈判例時報1507号43頁〉)がある。
また,解除が不法行為に該当するとした例として,ノエビア化粧品事件控訴審判決(東京高裁平成14年12月5日判決〈判例時報1814号82頁〉)がある(判例チェック№6参照)。
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