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判例

判例チェック No.40 最高裁第三小法廷平成25年1月22日判決・平成23年(受)第2229号賃料減額請求本訴,地代等支払請求反訴事件

カテゴリ:判例
判例チェックNO.40
最高裁第三小法廷平成25年1月22日判決・平成23年(受)第2229号賃料減額請求本訴,地代等支払請求反訴事件
(出典 最高裁ホームページ)
 
★チェックポイント
ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約に借地借家法11条の類推適用があるか(消極)
■裁判例の概要
(事案の概要)
本件土地につき所有権または共有持分権を有する上告人は、Aとの間で、本件土地の一部につき地上権設定契約を、その余の土地につき賃貸借契約を締結した(以下、上記両契約を併せて「本件契約」という。)。本件契約ではゴルフ場経営を目的とすることが定められた。その後本件契約の地上権者及び賃借人の地位は転々と譲渡され,被上告人は,上告人の承諾を得て,平成18年9月1日,上記地位を取得し,それ以来,本件土地を利用してゴルフ場を経営している。被上告人は,平成19年3月12日頃,上告人に対し,本件契約で当初に合意された地代及び土地の借賃(以下「地代等」という。)がその後の事情により不相当に高額となっているとして,減額の意思表示をし、減額請求後の地代等の金額の確認と、支払済みの金額と適正賃料額との差額の返還並びに借地借家法11条3項ただし書所定の年1割の割合による利息の支払いを求めた。
原裁判所は、借地借家法11条の立法趣旨の基礎にある事情変更の原則や契約当事者間における公平の理念に照らせば,建物の所有を目的としない本件契約においても同条1項及び3項ただし書の類推適用を認めるのが相当であるとして、被上告人の請求を一部認容したので、上告がされた。
(裁判要旨)
本件契約においては,ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎないし,また,本件土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないから,本件契約につき借地借家法11条の類推適用をする余地はないというべきである。
★コメント
本判例が理由とするところは、「借地借家法は,建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権に関し特別の定めをするものであり(同法1条),借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しており(同法2条1号),同法の借地に関する規定は,建物の保護に配慮して,建物の所有を目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設けられたものと解される。同法11条の規定も,単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に対応することを可能にするというものではなく,上記の趣旨により土地の利用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え,また,これに対応した権利を借地権者に与えるとともに,裁判確定までの当事者間の権利関係の安定を図ろうとするもので,これを建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない。」というもので、当然であろう。
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